正常な拍動は、どれも小さな丸いふくらみから始まります。それがP波です。すぐあとに続く高いQRS波の横では見落としやすい波ですが、医師が最初に確認するもののひとつでもあります。拍動がどこから始まったかを示すからです。
P波とは
P波は、心臓の上側の部屋である心房が興奮するときの電気信号です。正常な拍動は右心房にある洞結節から始まり、信号は心室に届く前に左右の心房全体に広がります。この広がりがP波を描きます。1
QRS波の前に毎回規則正しくP波があることは、洞調律のサインのひとつです。心房細動などでP波が見られない場合、心房は秩序立った形で興奮していません。
実際の1拍でみるP波の持続時間

P波の持続時間は、P波が基線から立ち上がり始めた点から、基線に戻る点までの時間です。ECG Tracker+では、「拍動形態」で代表的な1拍にこれを表示し、始まりと終わりをマークするので、何を測ったのかを正確に確認できます。
一般的な範囲
成人では、P波はふつう約120 ms未満です。2 P波が長い場合、たとえば左心房が大きくなっているときのように、信号が心房を伝わる速さが遅くなっていることを反映している場合があります。ただし、それだけでは理由はわかりません。心電図全体とあわせて医師が解釈する所見です。
Apple WatchでP波を測りにくい理由
P波は小さく、ふつう1ミリボルトにも満たない大きさです。しかもApple Watchでとれるのは単一誘導です。体の動きや接触不良によるわずかなノイズでも、P波が隠れたり、始まりと終わりがぼやけたりします。そのため、Apple Watchの記録ではP波の持続時間が表示されないことがよくあり、ECG Tracker+は波がはっきり見える場合にだけ表示します。測定値が表示されないのは、心臓に問題があるということではありません。
影響するもの
- 記録の品質。 記録中は腕を動かさず、テーブルの上に置いておきましょう。
- 誘導。 Apple Watchの記録に最も近い第I誘導では、ほかのいくつかの誘導よりもP波が小さく記録されます。
- 心臓のリズム。 心房細動では、測定できるような秩序立ったP波がありません。
一般的な範囲から外れた値があっても、それは診断ではありません。気になる測定値があれば、医師が12誘導心電図で確認できます。
よくある質問
P波の持続時間の正常値はどのくらいですか?
成人では、P波はふつう約120 ms未満です。
P波の持続時間が表示されないのはなぜですか?
単一誘導の記録ではP波が小さく、ノイズに隠れてしまうことがあります。ECG Tracker+は、推測で値を出すのではなく、表示しないようにしています。
Apple WatchでP波は見られますか?
多くのApple Watchの記録で、P波は波形の中に見えています。ただし、Apple Watchの心電図アプリはP波を測定しません。ECG Tracker+は、波がはっきりしている場合にP波の持続時間を推定します。


