心⁠電⁠図⁠の⁠見⁠方

Apple Watchの心⁠電⁠図⁠で⁠み⁠る陰⁠性⁠T⁠波(T波逆⁠転)。T波⁠が下⁠を向⁠い⁠て⁠い⁠る⁠⁠⁠と⁠⁠⁠き

陰性T波(T波逆転)とは、T波が下を向いている状態です。T波は各QRS波のあとに続く丸いふくらみで、心室が回復するときに現れ、Apple Watchの記録に最も近い第I誘導ではふつう上を向いています。QRS波は上を向いたままT波だけが下を向いていれば、陰性T波にあたります。原因はさまざまで、害のないものもあれば重要なものもあるため、ECG Tracker+は確認のきっかけとして「T波逆転の可能性」とマークするだけにとどめてい⁠ま⁠す⁠。

T波は見落としやすい波です。QRS波より低く幅が広く、ゆっくりと基線に戻っていきます。それでも、その向きには意味があります。第I誘導でT波が上ではなく下を向いていることは、医師が注意深く見るサインのひとつです。ここでは、実際の単一誘導の記録でどう見えるかを紹介し⁠ま⁠す⁠。

T波⁠が表⁠す⁠⁠⁠も⁠⁠⁠の

心室が興奮してQRS波を描いたあと、心室は回復し、次の拍動に備えます。この回復がT波を描きます。1 成人では、aVRとV1を除くすべての誘導でT波はふつう上を向いていて、第I誘導もそこに含まれ⁠ま⁠す⁠。2

実⁠際⁠の記⁠録⁠⁠⁠の⁠例

5秒間の第I誘導心電図。上向きのQRS波のあとに、それぞれ小さな下向きのT波が続き、1つの拍動が強調表示されて「T波逆転の可能性」のラベルが付いている
ECG Tracker+で解析した、実際の第I誘導の記録です。どのQRS波も上を向き、そのあとのT波はどれも下を向いています。アプリは「T波逆転の可能性」をマークしま⁠し⁠た⁠。

これは実際の第I誘導の記録で、第I誘導はApple Watchでとる記録に最も近い誘導です。ECG Tracker+は、ふだんあなたの記録に行っているのと同じ解析をこの記録にも行いま⁠し⁠た⁠。

どのQRS波も、第I誘導でふつう見られるように上を向いています。そのあとのT波は、基線より上に盛り上がるのではなく、下へ沈み込んでいます。アプリは記録の8拍すべてで逆転したT波を見つけ、「T波逆転の可能性」をマークして、例として1拍を強調表示しま⁠し⁠た⁠。

この人の12誘導心電図全体を読んだ循環器専門医は、ほかにもいくつかの所見を報告しています。医師がT波だけを切り離して読むことはなく、心電図のほかのすべての所見や、その人の病歴とあわせて判断し⁠ま⁠す⁠。

T波逆⁠転⁠の⁠原⁠⁠⁠因

T波逆転はひとつのサインであり、診断ではありません。考えられる原因には、次のようなものがあり⁠ま⁠す⁠。2

  • 心筋への血流の低下(虚血)や、以前に起きた心臓⁠発⁠作
  • 心室肥大のように、心臓の壁が厚くなった⁠状⁠態
  • QRS波とT波の両方を変化させる脚ブロ⁠ッ⁠ク
  • 心筋が厚くなる病気である肥大型心⁠筋⁠症
  • 肺の血栓(肺塞⁠栓⁠症⁠)
  • 脳の損傷のあとなどに起こる、頭蓋内の圧力の⁠上⁠昇
  • 子どもにみられる正常なパターン(大人になっても続く人がい⁠ま⁠す⁠)

このうちどれに当てはまるかを判断できるのは医師だけで、たいていは12誘導心電図を使い、ほかの検査を行うこともあり⁠ま⁠す⁠。

T波逆⁠転⁠か、記⁠録⁠が逆⁠さ⁠ま⁠に⁠な⁠っ⁠て⁠い⁠る⁠⁠⁠の⁠⁠⁠か

設定で選んだ手首とは違う手首にApple Watchを着けていると、記録全体が上下反転します。その場合は、T波だけでなくQRS波も下を向きます。設定の直し方は、逆さまの心電図のガイドで説明してい⁠ま⁠す⁠。

本当のT波逆転では、この例のように、QRS波は上を向いたままでT波だけが下を向きます。記録のQRS波が下を向いている場合は、T波の向きを判断しにくくなるため、ECG Tracker+はずっと慎重になります。そのときは、はっきりした記録のほぼすべての拍動でT波の逆転が見られる場合にだけ、「T波逆転の可能性」をマークし⁠ま⁠す⁠。

ECG Tracker+が判⁠断⁠す⁠る⁠し⁠⁠⁠く⁠⁠⁠み

ECG Tracker+は、はっきり読み取れる拍動それぞれでT波の向きを確認します。そのうちの大部分でT波が逆転している場合にだけ「T波逆転の可能性」をマークするため、ノイズの入った1拍だけでマークされることはありません。T波が小さく平坦な場合やノイズの多い記録では、向きを判断できないことがあり、そのときは所見は表示されま⁠せ⁠ん⁠。

1つ⁠の誘⁠導⁠で⁠は⁠わ⁠か⁠ら⁠な⁠い⁠⁠⁠こ⁠⁠⁠と

12誘導心電図は、T波を12の方向からとらえます。医師は、どの誘導に変化があるかを確認し、心電図のほかの部分とあわせてT波を読みます。2 第I誘導を含む側壁誘導のT波の変化はよくみられるものの、それだけで特定の病気を示すものではありません。3 1つの誘導でわかるのはそのうちの1方向だけで、そのためECG Tracker+は「T波逆転の可能性」と表示します。これは記録を医師に見せるきっかけであり、それだけで所見になるものではありま⁠せ⁠ん⁠。

受⁠診⁠の⁠目⁠安

胸の痛み、圧迫感、締めつけられる感じ、失神、ひどい息切れがある場合は、記録に何が表示されていても、救急車を呼んでください。T波逆転の可能性が記録に現れ、まだ医師に相談したことがない場合は、記録を医師に見せてくだ⁠さ⁠い⁠。

よ⁠く⁠あ⁠る⁠質⁠⁠⁠問

T波⁠の逆⁠転⁠は危⁠険⁠で⁠⁠⁠す⁠⁠⁠か⁠?

原因によって、害のない場合もあれば、重要なサインの場合もあります。判断には医師の読影が必要で、たいていは12誘導心電図を使います。胸の痛みなどの症状がある場合は、すぐに医療機関を受診してくだ⁠さ⁠い⁠。

Apple WatchでT波逆⁠転⁠は⁠わ⁠か⁠り⁠ま⁠⁠⁠す⁠⁠⁠か⁠?

Appleの心電図アプリは、T波の向きを表示しません。はっきりした記録ではT波が見えることが多く、ECG Tracker+はT波逆転の可能性をマークして、確認できるようにし⁠ま⁠す⁠。

Apple Watchの心⁠電⁠図全⁠体⁠が逆⁠さ⁠ま⁠に見⁠え⁠る⁠の⁠は⁠な⁠ぜ⁠で⁠⁠⁠す⁠⁠⁠か⁠?

最もよくある理由は、手首の設定が、実際にApple Watchを着けている手首と合っていないことです。この場合、T波だけでなく、すべての波が反転し⁠ま⁠す⁠。

Apple WatchでT波⁠が正⁠常⁠な⁠ら、心⁠臓⁠の問⁠題⁠は⁠な⁠い⁠と⁠い⁠え⁠ま⁠⁠⁠す⁠⁠⁠か⁠?

いいえ。1つの誘導では、心臓のすべての部分を見ることはできません。Appleも、心電図アプリでは心臓発作を検知できないと明記してい⁠ま⁠す⁠。4

出⁠⁠⁠典

  1. MSDマニュアル プロフェッショナル版「心電図⁠検⁠査⁠」
  2. LITFL: T wave
  3. Tikkanen JT et al.: Electrocardiographic T wave abnormalities and the risk of sudden cardiac death, Annals of Noninvasive Electrocardiology 2015
  4. Appleサポート「Apple Watchの心電図アプリで心電図を⁠と⁠る⁠」

Apple Watchの心⁠電⁠図⁠を、も⁠っ⁠と詳⁠⁠⁠し⁠⁠⁠く

波形全体、参考用の測定値、トレンド、期外収縮の可能性を示すパターンのフラグを、iPhoneで確認できます。処理はデバイス上で完結し⁠ま⁠す⁠。