期外収縮とリ⁠ズ⁠ム

Apple Watchの心⁠電⁠図⁠で⁠み⁠る心⁠室⁠性⁠期⁠外⁠収⁠縮(PVC)。波⁠形⁠に⁠ど⁠う現⁠れ⁠⁠⁠る⁠⁠⁠か

心室性期外収縮(PVC)は、心臓の下側の部屋である心室から始まる、早いタイミングの拍動です。単一誘導の心電図では、たいてい早く現れ、前後の拍動より幅が広く違った形をしていて、前にP波がなく、そのあとに長めの間が続きます。ECG Tracker+は、このような拍動を「PVCの可能性」としてマークし、確認できるようにし⁠ま⁠す⁠。

胸がドクンとする、脈が1拍飛ぶ、間が長すぎるように感じる。そうした感覚の正体は、PVCであることがよくあります。ここでは、実際の単一誘導の記録でPVCがどう見えるか、そして自分のApple Watchの心電図でどう見分けるかを紹介し⁠ま⁠す⁠。

PVC⁠と⁠⁠⁠は

正常な拍動は、心臓の上側の部屋の高い位置にある洞結節から始まり、速く伝わる伝導路を通って、下側の部屋である心室へと伝わります。PVCは、次の通常の拍動が来る前に、心室のどこかから始まる拍動です。信号が速い伝導路ではなく心筋の中をゆっくり広がるため、心電図では形の違う拍動として現れ⁠ま⁠す⁠。1

PVCはとてもよくみられるものです。最大で4人に3人がいずれかの時点で経験するとされ、そのほとんどは危険なものではありま⁠せ⁠ん⁠。2

実⁠際⁠の記⁠録⁠⁠⁠の⁠例

5秒間の第I誘導心電図。規則正しい拍動の中に、早く現れた幅の広い拍動が1つあり、ECG Tracker+によって「PVCの可能性」として強調表示されている
ECG Tracker+で解析した、実際の第I誘導の記録です。アプリが「PVCの可能性」とマークした1拍は、専門家の判定でPVCとされている拍動と同じ⁠で⁠す⁠。

これは実際の第I誘導の記録で、第I誘導はApple Watchでとる記録に最も近い誘導です。すべての拍動に専門家がラベルを付けています。ECG Tracker+は、ふだんあなたの記録に行っているのと同じ解析をこの記録にも行い、1拍を「PVCの可能性」としてマークしました。それは専門家がPVCとした拍動で、30秒間のうちほかに期外収縮としてマークされた拍動はありませんで⁠し⁠た⁠。

この記録の通常の拍動は約625 msごとに現れていて、心拍数にすると約96 bpmです。マークされた拍動は、直前の拍動からわずか477 ms後に現れました。そのあとの間は791 msで⁠し⁠た⁠。

見⁠分⁠け⁠る⁠た⁠め⁠の4つ⁠のサ⁠⁠⁠イ⁠⁠⁠ン

  1. 早く現れる。 直前の間隔が、通常の拍動どうしの間隔よりはっきり短くなります。この例では、約625 msのところが477 msで⁠し⁠た⁠。
  2. 形が違う。 拍動の高くとがった部分であるQRS波がふだんより幅広く、120 msを超えることも多く、形も前後の拍動と異なり⁠ま⁠す⁠。1
  3. 前にP波がない。 ふつうはQRS波の直前にある小さなふくらみが見られません。拍動が心房から始まっていないため⁠で⁠す⁠。1
  4. そのあとに長めの間が続く。 次の通常の拍動まで、心臓がいつもより長く待つことがよくあります。前後の間隔を足すと通常の拍動約2回分になる場合、医師はこれを代償性休止期と呼びます。1 この例では合計1,268 msで、通常の拍動2回分にあたる約1,250 msに近い値⁠で⁠す⁠。

PVCがいつも4つすべてのサインを示すとは限りません。心房から出る期外収縮であるPACも早いタイミングで現れますが、QRS波はたいてい幅が狭く、前後の拍動と似た形のままです。2つの違いはPACとPVCのガイドで比べてい⁠ま⁠す⁠。

ECG Tracker+で⁠の⁠表⁠⁠⁠示

アプリでは、その拍動が波形上で強調表示され、「PVCの可能性」のラベルが付きます。所見をタップすると、波形がその拍動を中心に表示され、前後のR-⁠R間隔を確認できます。この2つの間隔を比べることが、拍動が早く出たことを示す最もわかりやすい手がかりになる場合が多くあり⁠ま⁠す⁠。

ECG Tracker+の波形。1つの拍動に「PVCの可能性」のマークが付き、直前のR-R間隔465 ms、直後の842 ms、単一誘導記録では起始部位を確定できないという注記が表示されている
デモ用の記録で「PVCの可能性」とマークされた拍動と、その前後のR-⁠R間隔⁠で⁠す⁠。

ア⁠プ⁠リ⁠が「可⁠能⁠性」⁠と表⁠示⁠す⁠る⁠理⁠⁠⁠由

単一誘導では、PVCをほかの期外収縮と区別する細かな特徴がいつもはっきり見えるとは限りません。ノイズや体の動きで拍動の形がゆがむこともあれば、心房から出た期外収縮が幅広く見えることもあります。医療の専門家は、一般向けの心電図機器では、臨床的な評価と同じようにPACとPVCを分類することは現時点ではできないと指摘しています。3 そのためECG Tracker+は「PVCの可能性」と表示します。マークは、よく見てみるためのきっかけであり、気になるなら医師に見せるためのものです。確定した所見ではありま⁠せ⁠ん⁠。

PVCが規⁠則的⁠に続⁠く⁠⁠⁠と⁠⁠⁠き

PVCが一定のリズムで繰り返されることがあります。2拍に1回PVCが出る状態を二段脈、3拍に1回出る状態を三段脈と呼びます。ECG Tracker+は、こうしたパターンが4周期以上続けて現れた場合に、「二段脈の可能性」または「三段脈の可能性」としてマークし⁠ま⁠す⁠。

約8秒間の第I誘導心電図。2拍に1回、早く現れる幅の広いPVCがあり、その区間に網掛けと「二段脈の可能性」のラベルが付いている
実際の第I誘導の記録にみられるPVCの二段脈です。網掛けの区間はECG Tracker+が「二段脈の可能性」とマークした部分で、拍動のラベルは専門家の判定を示しています。横にスクロールすると、パターンの始まりと終わりを確認でき⁠ま⁠す⁠。

1回⁠の記⁠録⁠で⁠は⁠わ⁠か⁠ら⁠な⁠い⁠⁠⁠こ⁠⁠⁠と

30秒間の記録は、1日のうちのほんの一部にすぎません。記録にPVCが1つ見つかっても、それがどのくらいの頻度で起きているかはわかりません。頻度を知りたいとき、医師は1日以上記録できるホルター心電図やパッチ型の心電計を使います。PVCの負荷が全拍動の約10%を超えるあたりから、心筋への影響が検討され始めます。4 30秒間の記録でこれを測ることはできま⁠せ⁠ん⁠。

受⁠診⁠の⁠目⁠安

期外収縮に胸の痛み、失神、めまい、息切れを伴う場合は、救急車を呼んでください。2 期外収縮が続く、悪化する、あるいは不安がある場合は、医師に相談してくだ⁠さ⁠い⁠。

よ⁠く⁠あ⁠る⁠質⁠⁠⁠問

Apple Watchの心⁠電⁠図⁠でPVCは⁠わ⁠か⁠り⁠ま⁠⁠⁠す⁠⁠⁠か⁠?

はい。結果が「洞調律」であっても、PVCが波形に現れていることはよくあります。Apple Watchの心電図アプリはPVCを表示しませんが、ECG Tracker+はApple Watchの記録上でPVCの可能性がある拍動をマークし、確認できるようにし⁠ま⁠す⁠。

心⁠電⁠図⁠にPVCが1つ⁠あ⁠る⁠の⁠は危⁠険⁠で⁠⁠⁠す⁠⁠⁠か⁠?

PVCが1つだけというのはとてもよくあることで、たいていは心配のないものです。医師が重視するのは、PVCがどのくらいの頻度で起きているか、症状があるかどうか、そして心臓そのものの状態です。これらは1回の記録ではわかりま⁠せ⁠ん⁠。

PVCとPACの違⁠い⁠は何⁠で⁠⁠⁠す⁠⁠⁠か⁠?

どちらも早いタイミングで出る拍動です。PVCは心室から始まり、たいてい幅が広く違った形に見えます。PACは心房から始まり、QRS波はたいてい幅が狭く、前後の拍動と似た形をしてい⁠ま⁠す⁠。

ECG Tracker+が「PVCの可⁠能⁠性」⁠と表⁠示⁠す⁠る⁠の⁠は⁠な⁠ぜ⁠で⁠⁠⁠す⁠⁠⁠か⁠?

単一誘導の記録では、拍動がどこから始まったかをいつも示せるとは限りません。また、ノイズが期外収縮に似て見えることもあります。マークは見るべき場所を示すもので、それが何であるかを確かめるのは医師⁠で⁠す⁠。

出⁠⁠⁠典

  1. StatPearls: Premature Ventricular Complex, NCBI Bookshelf
  2. Cleveland Clinic: Premature ventricular contractions
  3. ISHNE, HRS, EHRA and APHRS: Digital health collaborative statement on mobile ECG devices, 2021
  4. Premature ventricular contraction burden and monitoring duration, review, 2023

Apple Watchの心⁠電⁠図⁠を、も⁠っ⁠と詳⁠⁠⁠し⁠⁠⁠く

波形全体、参考用の測定値、トレンド、期外収縮の可能性を示すパターンのフラグを、iPhoneで確認できます。処理はデバイス上で完結し⁠ま⁠す⁠。