期外収縮とリ⁠ズ⁠ム

Apple Watchの心⁠電⁠図⁠で期⁠外⁠収⁠縮⁠は⁠わ⁠か⁠る?PVCとPACの波⁠形⁠の見⁠⁠⁠え⁠方

Apple Watchの心電図アプリはPVCやPACを表示しませんが、期外収縮は30秒間の波形の中に、早いタイミングで現れてリズムを乱す拍動として記録されていることがよくあります。ECG Tracker+は、これをPACやPVCの可能性がある拍動としてマークし、確認できるようにします。1回の記録だけでは、拍動がどこから始まったかを確定することも、1日を通してどのくらいの頻度で起きているかを知ることもできま⁠せ⁠ん⁠。

脈が飛ぶ感じ、ドクンと強く打つ感じ、出たり消えたりするドキドキ。期外収縮は、Apple Watchで心電図をとるきっかけとして最もよくあるもののひとつです。ところが結果は「洞調律」や「判定不能」で、感じた拍動については何も書かれていません。その拍動は、記録にちゃんと残っているかもしれません。どこを見ればよいかを知っていればよいの⁠で⁠す⁠。

PACと⁠PVC⁠と⁠⁠⁠は

期外収縮とは、本来の次の拍動よりも早く出る余分な拍動のこと⁠で⁠す⁠。

  • PAC(心房期外収縮)は、心臓の上側の部屋である心房のどこかから始まります。1 実際の記録でみるPACは、PACのガイドで紹介してい⁠ま⁠す⁠。
  • PVC(心室期外収縮)は、心臓の下側の部屋である心室のどこかから始まります。2 実際の記録でみるPVCは、PVCのガイドで紹介してい⁠ま⁠す⁠。

どちらもとてもよくみられるものです。PVCは、最大で4人に3人がいずれかの時点で経験するとされ、そのほとんどは危険なものではありません。2 PACはどの年齢でもよくみられます。24時間心電図を装着した50歳以上の成人を対象にした研究では、PACがまったくなかった人は約1%にすぎませんで⁠し⁠た⁠。3

期外収縮をまったく感じない人も多くいます。一方で、ドキドキする、脈が途切れる、強く打つといった感覚に気づく人もいます。きっかけになりうるものとしては、カフェイン、アルコール、たばこ、ストレス、疲れが挙げられます。1 ストレスや不安、カリウムやマグネシウムの不足も、PVCを引き起こすことがあり⁠ま⁠す⁠。2

波⁠形⁠で⁠の見⁠⁠⁠え⁠方

期外収縮はどれも早いタイミングで現れるため、拍動の等間隔な並びが崩れます。そのあとには、次の通常の拍動までに長めの間があくことがよくあり⁠ま⁠す⁠。

PVCの可能性がある拍動は、周囲の拍動と違って見えることがよくあります。QRS波の幅が広く形も異なることがあり、通常はその前にP波がありません。そのあとの間も長くなりがち⁠で⁠す⁠。

ECG Tracker+の波形。1つの拍動に「PVCの可能性」のマークが付き、直前のR-R間隔465 ms、直後の842 ms、単一誘導記録では起始部位を確定できないという注記が表示されている
デモ用の記録で「PVCの可能性」とマークされた拍動です。早いタイミングで現れ、形が異なり、そのあとに長めの間が続いてい⁠ま⁠す⁠。

PACの可能性がある拍動は、通常、QRS波の幅が狭く、ほかの拍動と似た形をしています。信号が心室の中をいつもどおりに伝わるためです。早いタイミングで現れ、P波の形が違っていたり、直前のT波に隠れていたりすることもあり⁠ま⁠す⁠。

ECG Tracker+の波形。1つの拍動に「PACの可能性」のマークが付き、直前のR-R間隔664 ms、直後の1,045 msを表示
デモ用の記録で「PACの可能性」とマークされた拍動です。QRS波は前後の拍動と似ていますが、早いタイミングで現れてい⁠ま⁠す⁠。

ECG Tracker+では、所見をタップすると、波形がマークされた拍動を中心に表示され、その前後のR-R間隔が表示されます。この2つの間隔を比べることが、拍動が早く出たことを示す最もわかりやすい手がかりになる場合が多くあり⁠ま⁠す⁠。

ア⁠プ⁠リ⁠が「可⁠能⁠性」⁠と表⁠示⁠す⁠る⁠理⁠⁠⁠由

PACとPVCを見分ける手がかりは、P波があるかどうかやその形、QRS波の幅といった細かな特徴です。単一誘導では、こうした特徴がいつもはっきり見えるとは限りません。ノイズや体の動き、ほかのリズムが期外収縮に似て見えることもあり⁠ま⁠す⁠。

医療の専門家は、一般向けの心電図機器では、臨床的な評価と同じようにPACとPVCを分類することは現時点ではできないと指摘しています。4 そのためECG Tracker+は、これらを「PACの可能性」「PVCの可能性」として表示します。マークは、よく見てみるためのきっかけであり、気になるなら医師に見せるためのものです。確定した所見ではありま⁠せ⁠ん⁠。

30秒⁠間⁠の記⁠録⁠で⁠は⁠わ⁠か⁠ら⁠な⁠い⁠⁠⁠こ⁠⁠⁠と

30秒間の記録は、1日のうちのほんの一部にすぎません。とらえられる期外収縮の数は、記録する時間の長さに大きく左右されます。あるレビューによると、48秒間の心電図で1回以上のPVCが見つかった人は1%未満でしたが、健康な成人が24時間心電図を装着した場合は69%で⁠し⁠た⁠。5

期外収縮がどのくらいの頻度で起きているか(いわゆる「負荷」)を知りたいとき、医師は1日以上記録できるホルター心電図やパッチ型の心電計を使います。負荷が全拍動の約10%を超えるあたりから、心筋への影響が検討され始めます。5 30秒間の記録でこれを測ることはできません。また、マークのない記録だからといって、期外収縮がないとは言いきれま⁠せ⁠ん⁠。

記⁠録⁠を上⁠手⁠に活⁠か⁠す⁠⁠⁠に⁠⁠⁠は

  • 症状があるときに記録する。 ドキドキを感じたら、その最中に記録しましょう。その拍動をとらえられる可能性が最も高いのは、そのときの記録⁠で⁠す⁠。
  • メモを残す。 何を感じたか、それが記録している間に起きたかどうかを書いておき⁠ま⁠す⁠。
  • 記録にタグを付⁠け⁠る⁠。 整理のガイドで紹介しているように、受診に向けてまとめておきまし⁠ょ⁠う⁠。
  • トレンドの期外収縮率を見る。 記録全体を通して、期外収縮の可能性がどのくらいの頻度でマークされたかがわかります。これは状況を知る手がかりであって、負荷を測ったものではありま⁠せ⁠ん⁠。
  • 波形全体を共有する。 波形全体を載せたPDFがあれば、医師が自分の目でその拍動を判断でき⁠ま⁠す⁠。
受⁠診⁠の⁠目⁠安

期外収縮に胸の痛み、失神、めまい、息切れを伴う場合は、救急車を呼んでください。2 症状が続く、悪化する、あるいは期外収縮が起こる回数が増えてきた場合は、医師に相談してくだ⁠さ⁠い⁠。1

よ⁠く⁠あ⁠る⁠質⁠⁠⁠問

Apple WatchでPVCは⁠わ⁠か⁠り⁠ま⁠⁠⁠す⁠⁠⁠か⁠?

Apple Watchの心電図アプリはPVCを表示しませんが、PVCは波形に現れることがよくあります。ECG Tracker+は、Apple Watchの記録上でPVCやPACの可能性がある拍動をマークし、確認できるようにし⁠ま⁠す⁠。

脈⁠が飛⁠ぶ⁠の⁠を感⁠じ⁠た⁠の⁠に、Apple Watchの結⁠果⁠が「洞⁠調⁠律」⁠だ⁠っ⁠た⁠の⁠は⁠な⁠ぜ⁠で⁠⁠⁠す⁠⁠⁠か⁠?

期外収縮が少しあるだけでは全体の分類が変わらないことがありますし、その拍動が30秒間の記録の外で起きていた可能性もあります。波形の中に、早いタイミングで現れて、そのあとに長めの間が続く拍動がないか探してみまし⁠ょ⁠う⁠。

PVCは危⁠険⁠で⁠⁠⁠す⁠⁠⁠か⁠?

ほとんどのPVCは危険なものではありません。ただし、非常に頻繁なPVCが数か月から数年続くと、心筋が弱まることがあります。必要に応じて、医師がより長い時間の記録で評価し⁠ま⁠す⁠。

Apple Watchの心⁠電⁠図⁠で、PACとPVCを見⁠分⁠け⁠ら⁠れ⁠ま⁠⁠⁠す⁠⁠⁠か⁠?

見分けられることもあります。PVCはほかの拍動より幅が広く、違った形に見えることが多いのに対し、PACは通常、似た形のまま早いタイミングで現れます。単一誘導では違いを確定できないこともあり、そのためマークには「可能性」と表示され⁠ま⁠す⁠。

出⁠⁠⁠典

  1. Cleveland Clinic: Premature atrial contractions
  2. Cleveland Clinic: Premature ventricular contractions
  3. Conen D et al.: Premature atrial contractions in the general population, Circulation 2012
  4. ISHNE, HRS, EHRA and APHRS: Digital health collaborative statement on mobile ECG devices, 2021
  5. Premature ventricular contraction burden and monitoring duration, review, 2023

Apple Watchの心⁠電⁠図⁠を、も⁠っ⁠と詳⁠⁠⁠し⁠⁠⁠く

波形全体、参考用の測定値、トレンド、期外収縮の可能性を示すパターンのフラグを、iPhoneで確認できます。処理はデバイス上で完結し⁠ま⁠す⁠。