期外収縮とリ⁠ズ⁠ム

上⁠室⁠性⁠期⁠外⁠収⁠縮⁠の⁠ひ⁠と⁠つ、心⁠房⁠性⁠期⁠外⁠収⁠縮(PAC)⁠はApple Watchの心⁠電⁠図⁠に⁠ど⁠う現⁠れ⁠⁠⁠る⁠⁠⁠か

PAC(心房性期外収縮)は上室性期外収縮のひとつで、心臓の上側の部屋から始まる、早いタイミングの拍動です。単一誘導の心電図では早く現れますが、たいていは前後の拍動と似た形で、QRS波は幅が狭いままです。そのあとの間は、PVCのあとより短いことがよくあります。ECG Tracker+は、このような拍動を「PACの可能性」としてマークし、確認できるようにし⁠ま⁠す⁠。

胸がパタパタする、脈が1拍飛ぶ、リズムが一瞬乱れる。そうした感覚の原因として最もよくあるもののひとつがPACで、まったく気づかないまま起きている人も大勢います。ここでは、実際の単一誘導の記録でPACがどう見えるか、そして自分のApple Watchの心電図でどう見つけるかを紹介し⁠ま⁠す⁠。

PAC⁠と⁠⁠⁠は

正常な拍動は、心臓の右上の部屋にある洞結節から始まります。洞結節は、心臓にもともと備わったペースメーカーです。PACは、次の通常の拍動が来る前に、上側の部屋である心房の別の場所から始まる拍動です。1 信号はそこからいつもの伝導路を通って下側の部屋へ伝わるため、拍動の主な波はたいてい見慣れた形をしてい⁠ま⁠す⁠。

PACはとてもよくみられるものです。24時間心電図を装着した50歳以上の成人を対象にした研究では、PACがまったくなかった人は約1%にすぎませんでした。2 ほとんどは危険なものではありません。カフェイン、アルコール、ストレス、疲れによって、起こる回数が増えることがあり⁠ま⁠す⁠。1

実⁠際⁠の記⁠録⁠⁠⁠の⁠例

5秒間の第I誘導心電図。規則正しい拍動の中に早く現れた拍動が1つあり、ECG Tracker+によって「PACの可能性」として強調表示されている。波形の上にはR-R間隔が表示されている
ECG Tracker+で解析した、実際の第I誘導の記録です。アプリが「PACの可能性」とマークした1拍は、専門家の判定でPACとされている拍動と同じ⁠で⁠す⁠。

これは実際の第I誘導の記録で、第I誘導はApple Watchでとる記録に最も近い誘導です。すべての拍動に専門家がラベルを付けています。ECG Tracker+は、ふだんあなたの記録に行っているのと同じ解析をこの記録にも行い、1拍を「PACの可能性」としてマークしました。それは専門家がPACとした拍動で、30秒間のうちほかに期外収縮としてマークされた拍動はありませんで⁠し⁠た⁠。

この記録の通常の拍動は約674 msごとに現れていて、心拍数にすると約89 bpmです。マークされた拍動は、直前の拍動からわずか443 ms後に現れました。そのあとの間は824 msで⁠し⁠た⁠。

見⁠分⁠け⁠る⁠た⁠め⁠のサ⁠⁠⁠イ⁠⁠⁠ン

  1. 早く現れる。 直前の間隔が、通常の拍動どうしの間隔よりはっきり短くなります。この例では、約674 msのところが443 msで⁠し⁠た⁠。
  2. 前後の拍動と似ている。 拍動の高くとがった部分であるQRS波は、たいてい幅が狭く、ほかの拍動と似た形をしています。信号が、下側の部屋へ向かういつもの伝導路を通っているため⁠で⁠す⁠。3
  3. P波の形が違ったり、隠れていたりする。 PACにも独自のP波がありますが、早いタイミングで出るため、形が違っていたり、直前の拍動のT波に埋もれていたりすることがあり⁠ま⁠す⁠。3
  4. そのあとの間は、完全な代償性休止期より短いことが多い。 この例では前後の間隔を足すと1,267 msで、通常の拍動2回分にあたる約1,348 msより短くなっています。4 PVCのあとでは、2つの間隔を足すと通常の拍動約2回分になることのほうが多くみられ⁠ま⁠す⁠。5

単一誘導では、どのサインも確実とはいえません。PACが幅広く見えることもときにはあります。4 小さなP波は、ノイズにまぎれて見えなくなりがちです。反対のケースはPVCのガイドで紹介していて、2つの違いはPACとPVCのガイドで比べてい⁠ま⁠す⁠。

ECG Tracker+で⁠の⁠表⁠⁠⁠示

アプリでは、その拍動が波形上で強調表示され、「PACの可能性」のラベルが付きます。所見をタップすると、波形がその拍動を中心に表示され、前後のR-⁠R間隔を確認できます。この2つの間隔を通常の間隔と比べることが、最もわかりやすい手がかりになる場合が多くあり⁠ま⁠す⁠。

ECG Tracker+の波形。1つの拍動に「PACの可能性」のマークが付き、直前のR-R間隔664 ms、直後の1,045 msを表示
デモ用の記録で「PACの可能性」とマークされた拍動と、その前後のR-⁠R間隔⁠で⁠す⁠。

ア⁠プ⁠リ⁠が「可⁠能⁠性」⁠と表⁠示⁠す⁠る⁠理⁠⁠⁠由

単一誘導では、PACの決め手となるP波が小さく、ノイズで隠れたり、ノイズがP波に似て見えたりすることがあります。医療の専門家は、一般向けの心電図機器では、臨床的な評価と同じようにPACとPVCを分類することは現時点ではできないと指摘しています。6 そのためECG Tracker+は「PACの可能性」と表示します。マークは、よく見てみるためのきっかけであり、気になるなら医師に見せるためのものです。確定した所見ではありま⁠せ⁠ん⁠。

PACが規⁠則的⁠に続⁠く⁠⁠⁠と⁠⁠⁠き

早い拍動が、2拍に1回や3拍に1回といった一定のリズムで繰り返されることがあります。こうしたパターンは二⁠段⁠脈、三段脈と呼ばれ、PACでもPVCでも起こりえ⁠ま⁠す⁠。

1回⁠の記⁠録⁠で⁠は⁠わ⁠か⁠ら⁠な⁠い⁠⁠⁠こ⁠⁠⁠と

30秒間の記録は、1日のうちのほんの一部にすぎません。記録にPACが1つ見つかっても、それがどのくらいの頻度で起きているかはわかりません。頻度を知りたいとき、医師は1日以上記録できるホルター心電図やパッチ型の心電計を使います。7 30秒間の記録でこれを測ることはできま⁠せ⁠ん⁠。

受⁠診⁠の⁠目⁠安

期外収縮に胸の痛み、失神、強いめまい、息切れを伴う場合は、救急車を呼んでください。期外収縮が頻繁に起こる、悪化する、あるいは不安がある場合は、医師に相談してくだ⁠さ⁠い⁠。1

よ⁠く⁠あ⁠る⁠質⁠⁠⁠問

Apple Watchの心⁠電⁠図⁠でPACは⁠わ⁠か⁠り⁠ま⁠⁠⁠す⁠⁠⁠か⁠?

はい。結果が「洞調律」であっても、PACが波形に現れていることはよくあります。Appleの心電図アプリはPACを表示しませんが、ECG Tracker+はApple Watchの記録上でPACの可能性がある拍動をマークし、確認できるようにし⁠ま⁠す⁠。

PACは危⁠険⁠で⁠⁠⁠す⁠⁠⁠か⁠?

ときどき出るPACはとてもよくあることで、たいていは心配のないものです。医師は、どのくらいの頻度で起きているか、症状があるかどうか、そして心臓全体の状態に注目し⁠ま⁠す⁠。

PACとPVCの違⁠い⁠は何⁠で⁠⁠⁠す⁠⁠⁠か⁠?

どちらも早いタイミングで出る拍動です。PACは心臓の上側の部屋から始まり、QRS波はたいてい幅が狭く、前後の拍動と似た形をしています。PVCは下側の部屋から始まり、たいてい幅が広く違った形に見え、そのあとに長めの間が続くこともよくあり⁠ま⁠す⁠。

ECG Tracker+が「PACの可⁠能⁠性」⁠と表⁠示⁠す⁠る⁠の⁠は⁠な⁠ぜ⁠で⁠⁠⁠す⁠⁠⁠か⁠?

単一誘導の記録では、P波や、拍動がどこから始まったかをいつもはっきり示せるとは限りません。ノイズが早い拍動に似て見えることもあります。マークは見るべき場所を示すもので、それが何であるかを確かめるのは医師⁠で⁠す⁠。

出⁠⁠⁠典

  1. Cleveland Clinic: Premature atrial contractions
  2. Conen D et al.: Premature atrial contractions in the general population, Circulation 2012
  3. LITFL: Premature atrial complex (PAC)
  4. Merck Manual Professional: Ectopic supraventricular arrhythmias
  5. LITFL: Premature ventricular complex (PVC)
  6. ISHNE, HRS, EHRA and APHRS: Digital health collaborative statement on mobile ECG devices, 2021
  7. American Heart Association: Holter monitor

Apple Watchの心⁠電⁠図⁠を、も⁠っ⁠と詳⁠⁠⁠し⁠⁠⁠く

波形全体、参考用の測定値、トレンド、期外収縮の可能性を示すパターンのフラグを、iPhoneで確認できます。処理はデバイス上で完結し⁠ま⁠す⁠。