心⁠電⁠図⁠の⁠見⁠方

Apple Watchの心⁠電⁠図⁠の「洞⁠調⁠律」⁠が意⁠味⁠す⁠る⁠こ⁠と、意⁠味⁠し⁠な⁠い⁠⁠⁠こ⁠⁠⁠と

洞調律は、30秒間の記録の間、心臓が本来のペースメーカーに導かれて、1分間に50~100回の一定のパターンで拍動していたことを意味します。ほとんどの人にとって想定どおりの結果です。ただし、説明しているのはその記録だけで、それだけで心臓が健康だということにはなりま⁠せ⁠ん⁠。

洞調律は誰もが見たいと願う結果で、たいていはそのとおりの結果が出ます。それでも、この結果で具体的に何が確かめられたのか、Appleが洞調律とした記録に、なぜアプリが期外収縮の可能性をマークすることがあるのか、疑問に思う人は少なくありません。どちらの疑問にも、はっきりとした答えがあり⁠ま⁠す⁠。

「洞」⁠が指⁠す⁠⁠⁠も⁠⁠⁠の

正常な心拍は、どれも洞結節から始まります。洞結節は右心房にある小さな細胞の集まりで、心臓にもともと備わったペースメーカーの役割を果たしています。信号はそこから心房全体に広がり、房室結節でほんの一瞬とどまったあと、心室を一気に駆け抜け⁠ま⁠す⁠。1

心電図の上では、この流れが、小さなP波、鋭いQRS波、幅の広いT波の順に並び、一定のペースで繰り返される形で現れます。このパターンが規則的で、心拍数が50~100 bpmのとき、Appleの心電図アプリは記録を洞調律に分類し⁠ま⁠す⁠。2

ECG Tracker+の心電図の詳細画面。「洞調律」に分類された66 bpmのデモ用記録で、等間隔に並ぶ拍動とR-Rマーカーを表示
洞調律の記録です。拍動が等間隔に並び、それぞれにP波、QRS波、T波があります。R-⁠Rマーカーは、拍動と拍動の間の時間を示してい⁠ま⁠す⁠。

実⁠際⁠の記⁠録⁠で⁠み⁠る洞⁠⁠⁠調⁠⁠⁠律

洞調律の実際のApple Watchの心電図の5秒間。どの拍動にも小さなP波、幅の狭いQRS波、T波があり、R-R間隔は797~883 ms
ECG Tracker+で解析した、実際のApple Watchの記録です。どの拍動にもP波、QRS波、T波があり、間隔はほぼ均等⁠で⁠す⁠。

これは実際のApple Watchでとった30秒間の心電図で、ECG Tracker+がふだんあなたの記録に行っているのと同じ解析をしています。どの拍動も、小さなP波、幅の狭いQRS波、丸みのあるT波という同じ順序をたどってい⁠ま⁠す⁠。

拍動の間隔はほぼ均等です。この5秒間のR-⁠R間隔は797~883 msで、心拍数にすると約73 bpmです。Appleが洞調律とする50~100 bpmの範囲に、十分に収まっています。アプリは、30秒間のうちに期外収縮を1つもマークしませんで⁠し⁠た⁠。

間隔どうしのわずかな違いは正常なものです。このような結果からわかることと、わからないことを、次のセクションで説明し⁠ま⁠す⁠。

洞⁠調⁠律⁠か⁠ら⁠わ⁠か⁠る⁠⁠⁠こ⁠⁠⁠と

  • 記録中の心拍数が50~100 bpmだった⁠こ⁠と⁠。
  • 心房と心室がそろって拍動していた⁠こ⁠と⁠。
  • 全体のパターンが、分類できる程度に一定だった⁠こ⁠と⁠。

洞⁠調⁠律⁠か⁠ら⁠は⁠わ⁠か⁠ら⁠な⁠い⁠⁠⁠こ⁠⁠⁠と

Appleは、洞調律という結果はその記録だけに当てはまり、健康であることを意味するものではないと明言してい⁠ま⁠す⁠。2

  • 一瞬を切り取ったものです。 30秒間では、1日のほかの時間にリズムがどうなっているかはわかりま⁠せ⁠ん⁠。
  • 期外収縮が現れることもあります。 全体としては洞調律の記録に期外収縮がいくつか混じっていても、分類は変わらないことがあります。ECG Tracker+は、そうした拍動を「PACの可能性」や「PVCの可能性」としてマークし、見直せるようにすることがあり⁠ま⁠す⁠。
  • 1つの誘導には死角があります。 心臓発作を含む多くの病気は、単一誘導の記録では見えま⁠せ⁠ん⁠。2
  • 間隔は別の話です。 洞調律という分類は、PR、QRS、QTの間隔については何も説明していません。これらは別の測定値⁠で⁠す⁠。

洞⁠調⁠律⁠の心⁠電⁠図⁠に、期⁠外⁠収⁠縮⁠の可⁠能⁠性⁠がマ⁠ー⁠ク⁠さ⁠れ⁠る⁠理⁠⁠⁠由

Appleの分類は、記録を全体として見ています。一方、詳しい表示では1拍ずつを見ます。ほとんどの拍動が規則的で、1拍だけが早く来た場合、記録全体を洞調律と呼ぶのは妥当です。それでも、その1拍だけは目立つことがあり⁠ま⁠す⁠。

ECG Tracker+は、その拍動を「PACの可能性」または「PVCの可能性」としてマークし、前後のR-⁠R間隔を表示します。これは確認するためのきっかけであり、確定した所見ではありません。こうした拍動がどう見えるかは、PACとPVCのガイドで紹介してい⁠ま⁠す⁠。

気⁠づ⁠く⁠か⁠も⁠し⁠れ⁠な⁠い洞⁠調⁠律⁠の⁠ゆ⁠⁠⁠ら⁠⁠⁠ぎ

洞調律でも、拍動の間隔が完全に等しいことはまれです。多くの健康な人、特に若い人では、息を吸うと心拍数がわずかに上がり、吐くとゆっくりになります。これは洞性不整脈と呼ばれる、正常なゆらぎです。3 波形では、R-R間隔がゆるやかに変化する形で現れ⁠ま⁠す⁠。

範囲から少し外れた心拍数には、それぞれ別の分類があります。50 bpm未満ではAppleは「低心拍数」と表示し、上限を超えると「高心拍数」と表示します。それぞれについては結果のガイドで説明してい⁠ま⁠す⁠。

安心できる結果より、症状を優先してくだ⁠さ⁠い

Apple Watchが洞調律と表示していても、体調が悪いときは医師に相談してください。胸の痛み、失神、ひどい息切れがあるときは、救急車を呼んでくだ⁠さ⁠い⁠。

よ⁠く⁠あ⁠る⁠質⁠⁠⁠問

洞⁠調⁠律⁠な⁠ら、心⁠臓⁠は正⁠常⁠と⁠い⁠う⁠こ⁠と⁠で⁠⁠⁠す⁠⁠⁠か⁠?

その記録の間、心臓が50~100 bpmの一定のパターンで拍動していたという意味です。30秒間の単一誘導心電図ではすべての病気がわかるわけではないため、Appleは、健康であることを意味するものではないと説明してい⁠ま⁠す⁠。

洞⁠調⁠律⁠と⁠い⁠う結⁠果⁠で⁠も、心⁠室期⁠外⁠収⁠縮(PVC)⁠や心⁠房期⁠外⁠収⁠縮(PAC)⁠が⁠あ⁠る⁠こ⁠と⁠は⁠あ⁠り⁠ま⁠⁠⁠す⁠⁠⁠か⁠?

はい。全体としては洞調律の記録にも、ときおり期外収縮が現れることがあります。ECG Tracker+のような詳しい表示では、それらを期外収縮の可能性としてマークし、見直せるようにすることがあり⁠ま⁠す⁠。

洞⁠調⁠律⁠の⁠と⁠き⁠の心⁠拍⁠数⁠が、安⁠静時心⁠拍⁠数⁠と違⁠う⁠の⁠は⁠な⁠ぜ⁠で⁠⁠⁠す⁠⁠⁠か⁠?

心電図の心拍数は、その30秒間に測ったものです。一方、ヘルスケアアプリの安静時心拍数は、1日を通した光学式センサーの測定値から推定されます。測っているタイミングが違うの⁠で⁠す⁠。

出⁠⁠⁠典

  1. MSDマニュアル プロフェッショナル版「心電図⁠検⁠査⁠」
  2. Appleサポート「Apple Watchの心電図アプリで心電図を⁠と⁠る⁠」
  3. Shaffer F, Ginsberg JP: An overview of heart rate variability metrics and norms, 2017

Apple Watchの心⁠電⁠図⁠を、も⁠っ⁠と詳⁠⁠⁠し⁠⁠⁠く

波形全体、参考用の測定値、トレンド、期外収縮の可能性を示すパターンのフラグを、iPhoneで確認できます。処理はデバイス上で完結し⁠ま⁠す⁠。