
1件の心電図は、30秒間のスナップショットです。それが1か月で20件集まると、あなたにとって何が標準的なのかが見えてきます。そのためにあるのが「トレンド」です。記録の一覧を、測定値がどう推移しているかがわかる全体像に変えてくれます。どの点からでも、元の心電図を開くことができます。
「トレンド」でわかること
「トレンド」には、保存された心電図の測定値がまとめて表示されます。選んだ期間ごとに、次のカードが並びます。
- 心拍数(記録から算出)
- 拍動の規則性(拍動の間隔がどれだけ均等だったか)
- HRV (rMSSD)(30秒間の記録ごとの、拍動ごとの間隔のゆらぎ)
- 期外収縮率(期外収縮の可能性がどのくらいの頻度でマークされたか)
- 記録品質(記録がどのくらい解析に使える状態だったか)
- QTc(補正したQT間隔の推定値)

画面上部で7D、30D、90D、1Yを選ぶと、期間を切り替えられます。無料プランでは、過去7日間の心拍数と拍動の規則性を確認できます。Proでは、すべてのカードと、より長い期間を利用できます。
中央値、最新の値、変化
各カードでまず目に入るのは中央値です。その期間の記録を小さい順に並べたときに、真ん中にくる値のことです。1件だけ極端な記録があっても中央値はほとんど動かないため、標準的な値を表すのに向いています。
架空の例で考えてみましょう。心拍数が60、62、64、66、90 bpmの5件の記録がある場合、1件だけ大きく高い記録があっても、中央値は64 bpmです。90 bpmの記録がいちばん新しいものなら、最新の値は90 bpmになります。どちらも正しい値で、答えている問いが違うのです。
中央値の横には、同じ長さの前の期間からの変化が表示されます。たとえば、その前の30日間と比べて「↓ 8 bpm」のように表示されます。
わかりやすい言葉での振り返り
「トレンド」の上部には、その期間を文章で説明する短い振り返りが表示されます。たとえば「記録のあった13日間に記録された14件のECGでは、心拍数の中央値は74 bpmで、その前の30日間から8 bpm減少しました」のような文章です。期外収縮の可能性がある拍動がマークされていた場合は、そのことと、解析した何拍の中で見つかったかも示されます。
振り返りが説明するのは、あなたが記録した心電図だけです。記録と記録の間に心臓がどうしていたかは説明しません。
どの点からでも元の記録を開く
トレンドがどれだけ役立つかは、その元になっている記録しだいです。カードをタップして詳細画面を開き、グラフに触れて点を選び、その点をタップするとその心電図が開きます。「計測数」を展開して、期間内のすべての記録を一覧することもできます。
実際の記録を見ると、意外な値の理由がわかることがよくあります。110 bpmという心拍数は、階段を上った直後にとった心電図だったのかもしれません。記録にメモがあれば、思い出す手がかりになります。
変化は慎重に読み取る
トレンドに表れる数値の変化は、記録どうしに違いがあるという意味では本物です。ただ、なぜ変わったのかまではわかりません。結論を出す前に、次の点を確認しましょう。
- それぞれの期間に記録は何件あるか? 心電図が3件だけの中央値は、20件の場合よりもずっと不安定です。
- いつ記録したか? 朝の安静時の記録と、夜の運動後の記録は、そのまま比べることはできません。
- 同じ方法か? QTcの計算式を変えたり、手動で調整したりすると、数値は変わります。
- 誰の記録か? ほかの人があなたのApple Watchでとった心電図が混ざると、まとめの値がずれることがあります。除外する方法はほかの人の心電図を除外するガイドで紹介しています。
たとえば数分間安静にしたあと座って記録するなど、似た条件で記録すると、トレンドはずっと意味のあるものになります。
値がないことは、ゼロではない
ある記録に特定の測定値がない場合、その記録はそのカードから外れるだけです。ゼロとして数えられることはないので、中央値を引き下げることもありません。QTcのカードの点が心拍数のカードより少ないことがあるのは、このためです。一部の値が表示されない理由は、測定値が表示されない理由のガイドで説明しています。
トレンドの変化は、気づくきっかけとなる情報です。気になる場合は、医師に相談する材料にしてください。トレンドは診断ではなく、安定しているからといって問題がないとは限りません。
よくある質問
振り返りの文章とトレンドのカードで、中央値が違うのはなぜですか?
同じ期間でも、まとめ方が少し異なる場合があるため、数値にわずかな違いが出ることがあります。詳細カードを開くと、計算に含まれるすべての記録を確認できます。
トレンドを役立てるには、心電図が何件必要ですか?
決まった数はありませんが、似た条件での記録が多いほど、中央値は安定します。まずは数週間、週に数件ずつ記録するとよいでしょう。
トレンドには、ヘルスケアアプリの心拍数データも使われますか?
トレンドがまとめるのは、心電図の記録から得た測定値です。光学式センサーによる心拍数の測定値は、別の画面である「心拍数のタイムライン」に表示されます。


